谷崎潤一郎記念館|2021年 秋の特別展「細雪」日常への憧憬
2021年9月11日(土)~12月5日(日)

おだやかな日々のくらしの、物語
文豪谷崎潤一郎の代表作「細雪」。
そこで描かれるのは、昭和10年代の阪神間に生きる市民の、教養と財産と伝統そしてとりわけ女たちの艶やかな存在感にうら打ちされた、豊かで美しくおだやかな日常です。
それは、当時の谷崎家の生活の記録であり、文豪がこよなく愛した暮らしであったに違いありません。
作品では、春夏秋冬の不変の自然の循環に織り込まれつつ、家族の日々の時間が流れてゆきます。
変わらぬ春のめぐりとともに訪れる花見の春はしかし、一家にとっては年ごとに違う春なのです。
日常の時間の流れは、その生活を徐々に変えてゆくのでした。
それは、家族として親しんだ懐かしい生活世界がうしなわれてゆく過程でもあったのです。
「細雪」の頃はまた、戦争の暗く速い流れが、世の中を覆っていった時代でもありました。
その時流にあらがうでもなくのみ込まれるでもなく、一家の豊かでおだやかな日常は、みずからの喪失のリズムをゆるやかに刻んでゆくように見えます。
この上もなく細やかに描き込まれてゆく、なにげなくも美しく愛おしい日々。
文豪が、その至高の筆致で惜しみつつ書きとどめた、うしなわれゆきつつある生活世界へ…。
秋の特別展 展示資料紹介
「細雪」のヒロインで、見合いをくり返す雪子。そのモデルだった重子(谷崎夫人松子の妹)も、同じく幾度もの見合いを経た後、これも作品と同じく1941(昭和16)年の春に嫁いでいる。そんな重子が、平安神宮の花見に着た愛用の羽織です。

秋の特別展 関連講座
学芸員が語る秋の特別展 「細雪」日常への憧憬
谷崎の代表作「細雪」に描かれる、おだやかで愛おしい日々の暮らし。それは、1936(昭和11)年秋から4年半にわたる、谷崎一家の日常の記録でもありました。当時の時代背景をも絡めながら、名作の作品世界をご案内します。
日 時|10月24日(日) 14:00~15:00
場 所|谷崎潤一郎記念館講義室
定 員|20名(要予約)※入館料のみで受講いただけます。
持ち物|筆記用具
ロビーパネル展
「細雪」あの人・その場所
「細雪」には、谷崎作品には珍しく多くの人物が登場します。
そんな名作を彩る人々のモデルたちを中心に、写真パネルで紹介します。
会 期|9月11日(土)~11月14日(日) ※入館料のみで観覧いただけます。

予告
「細雪」上映会 ー京マチ子・山本富士子出演ー
旧家の美しい四姉妹の日常を、原作の舞台である芦屋で長期ロケして描き出した昭和の情緒あふれる名画です。古き良き芦屋の懐かしい風景に浸ってみませんか。
日 時|11月23日(火・祝) ①10:30~12:15 ②13:30~15:15
会 場|芦屋ルナ・ホール 兵庫県芦屋市業平町8-24
定 員|各回300人
入場料|800円(前売 700円)
★ 10月1日(金)よりチケット販売を開始します ★
※詳しくは谷崎潤一郎記念館にお問い合わせもしくはHPをご覧ください。
詳細データ
会 期 |
2021年9月11日(土)~12月5日(日) 10:00~17:00(入館は16:30まで) 休館日 月曜日(祝日は開館し、翌日休館) |
会 場 | 谷崎潤一郎記念館 |
観 覧 料 |
一般 500円、大高生 300円、中学生以下 無料 ※団体料金(20人以上)は2割引 ※65歳以上、または身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳を お持ちの方、ならびにその介護の方1人は半額 |
アクセス |
徒歩 阪神芦屋駅から南東へ15分 バス 阪急芦屋川駅・JR芦屋駅・阪神芦屋駅 いずれも「緑町」下車、東へ徒歩1分 駐車場 隣の美術博物館20台、図書館47台 |
お問合せ |
谷崎潤一郎記念館 〒659-0052 兵庫県芦屋市伊勢町12番15号 TEL 0797-23-5852 FAX 0797-38-3244 |