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尼崎あにあんレポート 兵庫県立ピッコロ劇団第56回公演/近松賞受賞作品「砂壁の部屋」舞台記者会見レポート!

このページを印刷する2016年10月24日


砂壁の部屋

10月27日(木)~11月1日(火)、ピッコロシアター大ホールにて、兵庫県立ピッコロ劇団第56回公演/尼崎市第6回近松賞受賞作品「砂壁の部屋」が上演されます!

(本公演のご紹介記事はこちら

 









今回、「砂壁の部屋」の舞台記者会見にあにあん倶楽部も呼んでいただきました。
作家の上原裕美さん、演出家の岩松了さん、そしてユカミ役の野秋裕香さん、イサム役の堀江勇気さんにお話を伺いました!

砂壁の部屋1


近松賞受賞作品「砂壁の部屋」の作者・上原裕美さんは、自身も役者として活躍されています。本作品は、上原さん自筆の小説の1編を戯曲化したもの。ストーリーは、複雑な人生を生き抜く人々が様々に交差していく青春物語。ピッコロ劇団代表・岩松了さんの演出で、ピッコロ劇団のキャストの皆さんとともに繰り広げられます。


【作 上原裕美さん】

――作品・上演への期待について

「今回上演していただくことになって非常に驚いています。『砂壁の部屋』は、自分の小説を戯曲化したもので、自分の頭の中ではすごくこじんまりした作品でしたが、演出家の岩松さんや劇団員の皆様にご尽力いただき素晴らしい作品になり、驚きと喜びで満ち溢れた毎日を過ごしています。私のイメージの中では『砂壁の部屋』はモノトーンの世界ですが、岩松さんが演出されることにより彩り豊かなまったく違う世界が立ち上がっています。」

【演出家 岩松了さん】

――演出作品について

「私は、近松賞の選考委員をしていたので、戯曲の段階で『砂壁の部屋』を面白く感じ、受賞作品に推しました。選考時は、実際に自分が演出するとは思ってもいませんでしたが、今まさに稽古している段階です。自分はピッコロ劇団という劇団の代表でもあり、関西地区でピッコロ劇団をどのような印象で作っていけばいいのかをいつも念頭に置きながら活動しています。この『砂壁の部屋』は、今里新地という場所を舞台にした青春物語だと考えています。題材的にも関西が舞台なので、関西地区に根づいた、ピッコロ劇団から広がっていくような作品になればいいなという思いで演出に挑んでいます。」


――実際の稽古について

「通常は自分の書いた作品を演出することが多いので、他者が作り上げた作品・世界に対して、演出家としてどう挑むか、自分ではあまり経験したことのないものでした。稽古が始まって、大変だなと思いながらも、その大変さもまたトライする意味があると感じ頑張っております。」



【ユカミ役 野秋裕香さん、イサム役 堀江勇気さん

――役柄と抱負について

(野秋さん)
「劇団では、素直で真っ直ぐな女性や少年少女を演じることが多いのですが、今回は、心に闇を抱えているような、どこかやさぐれた不良少女を感じさせる役を演じます。実際に、このような役を演じるのが初めてなので、私としては挑戦だと考えている部分もあり、また、自分の持っているダークな部分がちょっとでも出せていけたらいいなという思いで稽古に臨んでおります。
今回は、新人中心の公演ということもあり、ピッコロ劇団では貴重だと思っています。
新しいお客様や、ピッコロ劇団を応援してくださるサポート会員の方々へも、しっかりと顔と名前を覚えていただけるように、また、岩松さんの演出で劇団員の個性を出し一人一人が輝いていける作品になればいいなと考えています。」


(堀江さん)
「今回演じるイサムは、おそらく野秋さんの演じるユカミと恋仲です。お芝居ではニワトリが登場人物に置き換えられて物語をつむいでいくという設定があり、ユカミの妄想なのか現実なのかは分からないですが、ユカミは人の言葉がニワトリの鳴声にきこえるというユニークな女の子。イサムはユカミの日常の中に存在するリアリティーのある存在です。
なので、できるだけナチュラルに自然体な形で、お芝居の中では一つ違うスパイスになればいいなという思いで、稽古に臨んでいます。全編が関西弁で進んでいくので、とても尼崎の空気感と似ていて、地元感がある親しみやすい作品になるだろうなと思っています。」



<質疑応答>
――今までのピッコロ劇団のイメージを大きく変える意外な作品を演出することについていかがでしたか?

(岩松さん)
「私も、ピッコロ劇団にはないタイプの作品だと思っていたので、とにかく若い人で演出したいと考えました。文字通りの青春物語にしたくて、ピッコロ劇団の新しい面を出せればいいなという思いでキャスティングしました。『砂壁の部屋』という上原さんが書かれた世界は、私個人がとても書けないセリフがいっぱいあり、私がトライする意味もあります。作品の魅力的なところを私自身がいかに上手く演出できるかという思いで稽古しております。」

――従来のピッコロ劇団の公演とどのような点が違うのでしょうか?

(岩松さん)
「おそらくですが、上原さんの書かれる世界が、こういう言い方は当たっているか分かりませんが、軌道を外れた人たちの話になっています。社会の底辺と言いますか、そのような世界を扱ってこなかったのと、青春物語と簡単に言いますが、架空の話ではなく、リアルなセリフで実際の力強さがあり、それが今までにないタイプの作品ではないかと思っています。」


――今里新地が舞台で、遊郭も出てきますが、こうした舞台背景で書こうと思った動機について教えてください。

(上原さん)
「場所を選んだ理由は、やっぱり面白い人が多いということです。底辺というよりは面白い生き方を自ら選んでいる人がいるという意味で。ただ、選択肢がなくそこにいざるを得ない人もいて、それに対しては不公平に感じていました。いろんな作品を見ることで、そのような世界の存在を知り、脱出したければ脱出する方法を身に着けてほしいという思いもあります。」


――登場人物をニワトリに置き換えて表現しているとのことですが、ニワトリというのはストーリーの中でどういう役割を果たしているのですか?

(上原さん)
「作品の中で出てくるニワトリやヒヨコは、例えば、髪を自分の意思ではなく染められてしまった子どもや、親に虐待されて傷を負ってしまった人など、不本意に大きな力によって傷つけられてしまったものの象徴になっています。
また、私自身ダンスをしていたので、ダンスとお芝居を融合させた作品ができればいいという思いがありました。戯曲にも動きを細かく書いているのですが、何で象徴すれば動きが自然なものになるかと考え、思いついたのが身近な生き物というところでニワトリでした。毎朝たまごを食べますし、個人的に鶏肉が好きということもあり、切り離せない身近な生き物ということでニワトリを選びました。」


――この物語を書くに至ったところで、今の時代をどのように考えていますか?

(上原さん)
「今の社会は、お金や貧困問題など、すごく不公平だと感じています。お金があれば教育も受けられるなど、子どもにとっては大変問題ですし、医療と教育だけは受けられるような世界が一番望ましいと思っています。
また、日本にいる限り戦争をしているわけではないので恵まれているとは思いますが、力のない子どもにとっては、家庭の不安も国家の不安も同じような悲劇には違いないです。それを上手く乗り切っていくために、みんなの心の中で強く繋がって結託するなど、嫌なことはやらないように目配せできる方法をがあればいいなという思いで作品を書きました。」

――上原さんの書く「砂壁の部屋」の印象について教えてください。

(岩松さん)
「『砂壁の部屋』を読んだ時に自分には書けないセリフだと感じたものがありました。セリフというのは何によって生まれるかというと、作家の体の中に蓄積されたものを言葉に変えて出来ていくのだと思います。上原さんの中に彫像されているものは、私があまり接することがない世界を呼吸している感じがしました。
例えば、セリフに出てくるくだらない会話が、一見無意味な話をしているのですが、それによって生まれる世界が非常に青春物語っぽい印象を抱きます。意味のないところに向かってる世界が、結果的に輝かしいはずの青春がどこかに散っていくっていう印象を私は抱いたのだと思います。そこが一番魅力的だなと思っていて、ちゃんと演出できるかどうか今は不安がいっぱいのまま稽古場にいます。」


――ユカミ役はどういう人物像ととらえて、稽古されていますか?

(野秋さん)
「稽古しながら模索している状態ですが、ユカミの抱く心の闇は誰にでもある一面だと感じています。
青春物語なので、何をやっても上手くいかない、また、何をやりたいのか自分が分からないなど、思春期の年頃に抱くモヤモヤした気持ちが繊細に描かれています。ユカミは、何かをみつけたいけれど、ずっと探している不安定な状態だと思っています。」





砂壁の部屋7 砂壁の部屋4


こちらは記者会見の後に見学させていただいた、公開稽古の様子。
生で見る役者さんの真剣な演技には、やはり圧倒されます!


砂壁の部屋2

途中、何度か岩松さんの演技指導が入るところもあり、一つ一つの動きやしぐさを確認しながら修正されていました。細部に至るまで丁寧に作品が作り上げられているということが伝わってきます。

砂壁の部屋3 砂壁の部屋6


セリフが関西弁で展開されていくので、物語も身近な出来事のように感じます。
岩松さんが会見でお話されていたように、現実感のあるリアルな作品。
プッと吹き出してしまいそうなユーモアあふれる場面も!
本番が楽しみですね!



レポートは以上です!
ぜひ、劇場にて、近松賞受賞作品「砂壁の部屋」をお楽しみください!

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